環境科2013年度 1泊バス研修ツアー
2013.5.31HRY
三方五湖〜中池見湿地
■日時:2013.5.23(木)/24(金) 晴
■行先:第1日 蘇洞門めぐり、瓜割の滝、三方五湖
     第2日 関電美浜原子力発電所PR館、気比の松原、中池見湿地
■交通:スイートトラベル・バス
■参加者:環境科39名
<目的とテーマ>
世界登録されている、若狭のジオパークとラムサール条約登録の三方五湖・中池見湿地を訪問。日本の持つ大切な大自然の環境を満喫して、其の自然環境保存の大切さを実感しましょう。

<中池見湿地>
<行程>
第1日:
梅田0750〜若狭舞鶴道〜小浜IC〜フィッシャーマンズワーフ1040→蘇洞門めぐり(1050〜1140)→昼(1150〜1250)→天徳寺・瓜割の滝(1310〜1410)〜三方五湖レインボーライン→梅丈岳展望台(1450〜1530)→海のホテルひろせ1545→若狭海岸めぐり(1545〜1630)→泊
第2日:
ホテルひろせ0845〜関電美浜原子力発電所PR館(0915〜1035)→気比の松原(1130〜昼〜1215)〜中池見湿地(1230〜1500)〜小牧かまぼこ(1505〜1530)〜敦賀IC1535〜北陸道・名神〜梅田駅解散1910

第1日 2013.5.23(木)

(1)蘇洞門めぐり(10:50〜1140)

 若狭フィッシャーマンズワーフから遊覧船に乗る。「蘇洞門(そとも)」は小浜湾の東側に位置する内外海半島北側の海岸にある海蝕洞で、花崗岩が日本海の波の作用で削られてできたものです。 大門・小門が象徴するように奇岩、洞門、洞窟などが約6kmに渡って続き、豪壮な景観は、若狭湾国定公園を代表する景勝地となっており、昭和9年に国の名勝に指定されています。日本列島がユーラシア大陸から離れ、日本海ができたのは約2000万年前ですから幾千年の波が創りあげた芸術といっていいでしょう。

フィッシャーマンズワーフから

蘇洞門をめぐる

花崗岩の海蝕岩 
・日本海の荒波に削られた豪壮な景観も素晴らしいのだが、それよりあの亀裂だらけのが入った岩盤の上に、一旦地震が起これば人間生活自体を破壊する可能性のある原子力発電所を建てることが怖いと思った。(OKさん)

(2)天徳寺・瓜割の滝(1310〜1410)

 天徳寺は周囲を大きな杉や檜の囲まれた高野山真言宗のお寺ですが、滝に至る道やお寺の庭には様々な苔や植物があります。天徳寺境内奥の山麓一帯に広がる「若狭瓜割名水公園」は環境省から「名水百選」に指定されていますが、あまりの水の冷たさに瓜が割れてしまったと云う伝説に由来しているという。皆どんな大きな滝かなと想像していたが、落差2mほどの小さな滝。落差何メートル以上が滝という定義はないそうですが、瓜割の泉が妥当ですね。

名水百選 瓜割の滝で
 
瓜割の滝口

天徳寺でコケの観察

瓜割の滝

(3)三方五湖

 五つの湖がかもし出す微妙な色合いが神秘的といわれ、海水と純水の混ざり具合と、温度によって五色になるという 多様な魚類や水鳥や生息し、2005年ラムサール条約湿地に指定された。三方湖、水月湖湖畔を回りレインボーラインへ、梅丈岳(ばいじょうだけ)中腹の駐車場広場から各湖や日本海を上から観察した。三方湖、水月湖、菅湖、日向湖、久々子湖同定できましたか。その間の僅かな時間を利用してリフトで頂上へ登った人もある。展望絶佳であったと聞く。

梅丈岳(ばいじょうだけ駐車場から日本海と三方五湖の展望

頂上展望台

(4)若狭海岸 自然観察 (15:45〜16:30)
 ホテル前でバス内に荷物を置き、弁天岬から海岸に沿った山をぐるりと廻る近畿自然歩道「三方五湖を巡る道」の観察は、右側は澄み切った海と岩陰の小さな魚の観察をし、左側は切り立った山肌の多様な植物の観察が楽しめた。

海のホテルひろせ

弁天岬 宗像神社前にて

海蝕岩

弁天岬を回り込む
朝の美浜町散歩。静か、寂れかかったという感じのところが多かった。高齢化による?原発停止の影響も?福井バスの久々子バス停留所待合・・草や木が生い茂っている廃止路線?

<久々子の風景>

(5)海のホテルひろせ
 貸し切り同様の温泉にゆっくり入って汗を流し、楽しみにしていた夕食はさすが「海のホテル」と云うだけあって、新鮮な海の幸たっぷり。飯盛幹事のあいさつに続いて清野副幹事の音頭で乾杯。懇親のひと時を過ごしました。毎回進化していく石橋さんの見事な手品は環境科の必需品です、また二次会での楽しい時間で絆もより深まりました.。

乾杯!海のホテルひろせ

懇親会風景

第2日 2013.5.24(金)

(1)関電美浜原子力発電所PR館(9:15〜10:35)
 全国で50基ある原子力発電所で稼動しているのは関電大飯3、4号機のみ。関電は供給電力の約50%を原子力に依存しており、若狭湾に11基の原子力発電所を持つ。大飯1,2,3,4号機、高浜1,2,3,4号機と、ここ美浜1,2,3号機である。1号機は1970年(S45年)に運転を開始した日本の電力会社では最も古いもの。テロ対策を理由に構内の見学はできず、PR館を見学する。4人のコンパニオンガールの出迎えを受け、男性職員の挨拶とビデオで発電所の概要を聞く。円形の建物の1Fは原子力発電の仕組み、2Fは放射線やエネルギーミックスを中心に模型展示や映像で解説している。

<関電美浜発電所(パンフレットから転載)>

PR館

原子炉模型

PR館からの発電所 

美浜発電所の諸元

感想

・環境科では3度目の原子力発電見学でしたが、初回はクリーンなエネルギー 資源の無い日本にとっては救世主的なエネルギーと関電の発進力を感じました。2回目はアメリカのテロ事件の後でしたので見学者のチェックが厳しかった事が印象的でした。今回は住民の理解と政府の規制をクリアして何とか発電にこぎつけたいとの姿勢を感じました。社会情勢により大きな変化が見られました。(MTさん)
・再稼働したい、して欲しい人々、雇用確保や電気代・エネルギー価格と供給安定企業の海外流出、貿易赤字が防げ日本経済のため安全、安心な暮らし ひとたび事故が起これば 福島避難者の思い、使用済核燃料の最終処理法が確立されないままの見切り発車、科学の発展、人類の英知で解決できる?!(ITさん)
・先行き不透明な原子力発電には不安をいだきますが、日本海の美しさ、朝夕に散歩した久々子海岸の水の透明さにホッとしています。(TGさん)
・原発銀座の旅、ずーっとこの地の人々のこと考えていました。火力発電所を見た時福井県の住民は原発の電気を一切使っていません。火力のみですとの説明が印象的でした。(KRさん)
・原子力発電の展示館を初めて見学。しっかり勉強し直して、人類の先輩として末孫に恨まれない行動をしなければあかんな〜と感じました。(HTさん)
・波にもろく砕ける岩の景勝地・蘇洞門、陥没してできたとされる三方五湖の近くに原発銀座。不動の岩盤に程遠く、素人には廃炉の決断以外浮かばない。美浜原子力PRセンターでの説明は何とも空々しい内容であった。(SKさん)

(2)気比の松原(11:30〜12:15)

 全長1.5km白砂の浜と約1万7千本の赤松、黒松の国指定の名勝.。静岡「美保の松原」、唐津「虹の松原」とともに日本三大松原に数えられる。弁当を食べるとトンビが舞い降りてきて危ないとの話は聞いていたが、4人も被害に遭うとは。一羽のトビが、広げた2段弁当をめがけて後ろから低空飛行で攻撃、散った弁当を数匹が食べるというチームプレイ。前ばかり警戒している人間様の裏をかく知能ぶりだ。中池見から出迎えの笹木さんに海岸や松林の案内をしていただく。敦賀は古代から大陸との交通の要衝であったとのこと、この景色は古より受け継がれたもの。

気比の松原で
 
松原を散策
・地形の特徴から数々の歴史を刻む敦賀の港。ポーランドなどから逃れたユダヤ人にビザを発給し脱出を助けた杉原千畝の話は有名だが、その中継地が敦賀港だったとはオドロキ!! それにしても、気比の海岸・松原のトンビ・カラスは賢いなー??(SKさん)

(3)中池見湿地(12:30〜15:00)

 なんで中池見なの?中池見湿地は、美濃−丹波帯の基盤岩の上に砂礫が推積し、その後地質化、寒冷化のあと、火山灰が降下し出来あがったと言われています。袋状埋積谷といわれる世界でも珍しい地形と、世界屈指の泥炭層の深さ40mの層中には、花粉や胞子などが眠っていて12万年前からの自然環境と気象を記録している世界的にも希少な場所です。ここには2千種を超す動植物が棲んでいます。2012年ラムサール条約に登録。

中池見湿地を歩く
観察会では、NPO法人ウェットランド中池見の笹木さんから中池見の概要について聞いてから、東側の「後谷」から湿地に入り、2班に分かれてご主人ともども案内いただきました。まわりを里山に囲まれた中池見は雨水と山からの湧水だけで流れ込む川はありません。しかし、水環境は多様で、それに対応した生物が棲み分けています。また複雑な地形により、光と風、水と緑が異なる環境を提供しています。このことが生物の多様性につながっています。今はちょうど端境期で、お花が終わったばかりですが、畔のアザミやカキツバタが印象的でした。
しかし、人間が持ち込む外来生物シラユキゲシ、コモチナデシコ、コバンソウ、イタチハギなどが繁茂し、湿原は危険にさらされています。大阪ガスのLNG基地化から救われたものの、今度は北陸新幹線建設計画が持ち上がり、大きな難題を抱えています。大阪ガス相手に反対運動を展開し成功したことは、新幹線建設計画においてもいい結果をもたらすことでしょう。対処療法では湿地らしさの環境を保持しにくい中での活動は本当に大変と、現地NPOウエットランド中池見の笹木ご夫妻ほか皆さんのご苦労が偲ばれました。
2013年6月1日発行予定の会報第51号には、「自然環境功労者環境大臣表彰」を受賞した笹木理事長の記事と喜びの写真が掲載されていました。おめでとうございます。

中池見地図


案内する笹木さん

アプローチ 新幹線建設予定地付近

湿地の観察

湿地内の流れ

調査用モンドリ

アザミと湿地

<湿地に侵入する外来生物>


シラユキゲシ

コモチナデシコ

コバンソウ 

イタチハギ

感想

・甲冑とともに沈むという泥炭地・中池見。ラムサール登録に尽力された笹木夫妻にただただ頭が下がる。橋脚が沈み発するという国道のきしみ音。戦場の静寂を破る武者の雄叫びはそんなだったのか? そんな地に新幹線が?!(OKさん)
・旅先で会った小学3年生の「ひろせ中池見君」より感謝のメールが入っていますのでご披露しておきます。
『中池見で会った大阪のおじさん、おばさん色々と教えて戴いて有難う。湿地でツヤのある黄色い小さな花を見つけ名前は何と聞いたところ「馬の足型」と教えてくれ抜こうと花に触ったところ「ダメ」と言われ「直ぐに手を洗ってきなさい。金鳳花の花は毒素が多いので気をつけなければいけません」の言葉にはビックリしました。すみませんでした。又途中おじさんが青い葉を引きちぎり指を丸めて葉を食い込ませ右手で葉を叩くと「パン」といい音が出たのには驚きました。葉は「スタンポ」といい「いたどり」の木だと教えてくれましたね。僕も教えて貰った通りにやりましたが音が「パスッ」との音だけで鳴らず違うおじさんに聞いたところ葉は軽く置くだけでいいとの事でやりました。今度は小さい音ですが「パン」と鳴り嬉しくなりました。今度お会い出来るようであれば上手に鳴らせるように練習をしておきます。何だか花や木を見るのが楽しくなりました。沢山のおじさん、おばさんがおられましたが宜しくお伝え下さいね。お元気で!』(ASさん)
・笹木さんに観察会のお礼と受賞おめでとうのメールを出しましたが、下記の返信が有りましたのでご紹介します。(AOさん)
『昨日は ありがとうございました。暑い 中、駆け足となってしまい、ゆっく りしていただけなかったのが残念でした。やは り、3時間は必要と感じました。また、 花は端境期で、少し寂しい時で、皆さん に楽しんでいただけなかったのが、心残り でした。過分な 志に恐縮しております。皆様に よろしくお伝え下さい。グルー プで新快速利用でお出でいただければ、いつで も駅で落ち合い、ご一緒しますので、ご連絡 下さい。お礼 まで。』

鬼やんま風に乗りゐて青湿地   二三弥


小牧かまぼこ工場で試食とお土産を
小牧かまぼこ工場に立ち寄る。いろいろなカマボコの試食を楽しみお土産を手に一路帰宅の途へ。渋滞もあったが無事帰着。有意義な研修旅行でした。お世話いただいた3班の皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。

参加者感想一口メモ集(クリック)
文・写真・編集/平山
企画:3班(青木・加藤)