UP 2013.7.16 ISH
シニア自然大学校環境科7月度 施設見学
旧甲子園ホテル・神鋼神戸発電所、灘浜サイエンススクエア見学
■日時:2013.7.12(金) 8:30〜17:30 天気 晴
■集合:大阪駅前第4ビル前 8:30
■行先:旧甲子園ホテル(武庫川学院・甲子園会館)、神戸製鋼所灘浜サイエンススクエア
■参加者:環境科 47名


目的

1.東の帝国ホテル、西の甲子園ホテルと並び称される昭和初期のホテル建築を学ぶ    
2.昨年都市・緑化Gが研究発表した「街路樹」の現場を観察、環境意識を高める
3.神鋼神戸発電所は神戸市の中央部に位置している都市型の石炭発電所です
  電気ができるまでの仕組みや環境対策をどのようにしているかを学びます
4.サイエンススクエアでは、製鉄と発電のプロセスを体験しながら学びます

行程

     8:40        大阪出発
     9:30〜11:00   旧甲子園ホテル(武庫川学院・甲子園会館)
    11:00〜        移動(街路樹の観察)
    12:00〜12:50  芦屋市総合公園にて昼食
    13:20〜15:30  神戸製鋼所、灘浜サイエンススクエア 見学
    17:30        大阪着

1.旧甲子園ホテル(武庫川学院・甲子園会館)見学
スケジュール
8時45分〜9時25分 大阪を出発、阪神高速神戸線 武庫川出口へ向かう 
・ 車中で“阪神間モダニズム”について概略の説明(資料配布)

9時25分〜11時05分 旧甲子園ホテル
・ ホテル内・外を2班に分かれて見学
コメント
 ホテルを企画した林愛作がアクセスが良くない現地になぜ立地を決めたか、設計のライト、遠藤新がデザインや建築資材にいかにこだわったか・・・等、当時のエピソードなどを交えて1時間半の解説を頂く。
建物を取り巻く庭園と相まって、こんな環境で学ぶ建築学科(平成18年4月開設された同学科は大半を利用している)の学生が羨ましく感じた。



緑まぶしい庭園に映えるおちついた色調の建物

玄関横の大クスノキ

褐色のタイルとレリーフテラコッタ

炎天下暑さに負けず

青芝に映ゆる外壁テラコッタ


建物の庇が庭園との繋がりを感じさせる

天井の低さに演出されたエントランス

光天井と装飾された下がり壁が特徴のホール


蝉の声囃すガイドの多弁かな



貝をモチーフとしたシャンデリア


シャンデリアのデザインと統一のブラケット照明器具


打出の小槌をモチーフとしたシンボル


 ライトは広重の画のファンで、ボストン美術館の浮世絵コレクションは、ライトが大きな貢献をしたと言われるほど、彼は広重の画をたくさん収集しました。
ライトが日本に初めて触れたのは、1893年にシカゴで万国博覧会があった時です。
宇治の平等院鳳凰堂を真似て建てられた日本館を、まだ二十代だったライトが見る機会があり、それをきっかけに彼の建築は劇的に変わったのです。それまでライトの建築は、ヨーロッパの伝統を踏襲した重々しいものでしたが、シカゴ万博を機に、屋根が左右にすーっと伸びる感じの透明な建築−後世に「ライト風」と呼ばれるようになる独自の作風に変わったのです。
 ライトの軽く透明な建築は、ヨーロッパの建築家たちに衝撃を与え、そこから刺激を受けたコルビュジエやミ―ス・ファン・デル・ロ―エらが20世紀のモダニズムをリードしました。世界の建築を変えた現象のルーツをたどれば、平等院鳳凰堂があり、日本、アメリカ、ヨーロッパと国境を越えた文化の交流が、歴史の底に横たわっていることがわかります。この歴史について、日本人はもっと誇りを持っていいと思います。
・・・・・・・
アメリカ建築史に燦然と名を残すフランク・ロイド・ライトは、もともとウィスコン州の田舎から出てきた山ザルのような人です。彼もアメリカの正統な建築の枠外から来た人だったから、当時のヨーロッパかぶれのアメリカ建築界をぶっ壊すことができた。彼の代表作の一つロビー邸(20世紀建築を代表する1906年の作品)はまさにコルビュジエのサヴォア邸に匹敵する革命的な作品です。西洋音楽史の中で、ビートルズが労働者階級から誕生したのと同じようなことで、コルビュジエもライトも、枠外だったから歴史を変えるほどの創造が出来たのです。

                      「建築家、走る」 隈研吾著より抜粋



  11時05分〜11時55分 西宮から芦屋へ街路樹を観察
コメント
 昨年都市環境・緑化Gが取り上げた「街路樹」の西宮版で、推奨場所は武庫川女子大付属中・高校舎を取り巻くメタセコイア(真夏の日を浴びてすくすくと伸び美しく輝いて見えた)、逆に問題場所は酒蔵通りの一部ハナミズキの欠損部分(支柱だけが残った無残な状態であった)をバスの車中から見学。西宮市域は、飯盛さんが案内、説明しました。
芦屋市に入り、芦屋版を石井さんが案内、説明しました。(芦屋版は芦屋川の松並木を見学の予定でしたが、高さ制限でバスが通れないので実現せず、一部の範囲のみ)


臨港線の並木(ユリノキと旧海岸の松並木)

芦屋市の津波避難ビルの標示板

ソーラーパネル付きLED照明器具で夜間も目立つ

南芦屋浜
11時55分〜12時55分 
・芦屋市総合公園にて昼食と休憩(石井さんから『お得情報』がありました)


芦屋市総合公園


2.神戸製鋼所・灘浜サイエンススクエア
(13:25〜16:05)
12時55分〜13時25分 神鋼神戸発電所へ移動
13時35分〜14時05分
        ・オリエンテーション( ビデオ上映「神戸とともに歩む」神戸製鋼所)
・見学準備( レシーバーの装着とヘルメット着帽 )
 14時05分〜14時55分 発電所を5班に分かれて見学
・ボイラー・タービン棟の屋上
・タービンフロア・中央操作室
コメント
 発電所を運営する神鋼神戸発電所は2001年8月に設立された神戸製鋼所100%出資の会社です。
電力供給は(1号機)2002年4月(2号機)2004年4月に開始され、総出力140万KW、自家使用以外は、すべて関西電力へ卸売されていて、その量は神戸市のピーク時の70%を賄っているそうです。
 見学はボイラー・タービン建屋の屋上へ。26階相当の屋上からの眺めは絶景で六甲山、神戸港、関西空港方面が一望でした。もちろん製鉄所の全景も、さぞかし夜景は見事だろうと想像しましたが、パンフレットは、きれいな夜景が見開き1面でした。
都市型発電所として、周辺環境保全に配慮していました。石炭対応として密閉型の搬送、貯蔵設備により粉じんの飛散を防止。ボイラー・タービン・発電機等は40cm厚さの壁の建屋内で騒音を外へ出さない工夫がされてぃました。
大気汚染防止には、最新鋭の排煙処理システムにより窒素酸化物、ばいじん、硫黄酸化物を除去しています。それらの排出濃度は情報公開モニターを実施しています。
 この日は、大変暑い日で、タービン、発電機を近くで見学し、高温パイプの通り道は、サウナに入っている状態でした。ガイドさんが、「保冷剤」を用意してくれていて、肌を冷やして、人心地ついた次第でした。シニアに対する優しさでしょうか。


14時55分〜15時35分 サイエンススクエアの見学
・展示室の見学、体験
・ライドシアター体験(定員20名で3班に分かれて乗る)
コメント
 「製鉄・発電・エネルギー・環境」を遊びながら科学や技術のおもしろさ、不思議さを体感しながら学べる施設がたくさんありました。
ライドシアターは、ここの目玉施設で、大画面の中に製鉄所・発電所が大写しされ、恰も旅をしているような、ドキドキ・ワクワク感とともに激しい動きがある乗り物を6分間体感することができました。
屋外には、ビオトープ、風力発電、ソーラ発電なども設備されていましたが、時間の関係で、見学できませんでした。
15時35分〜15時50分
・質疑応答(伊藤副館長ほか)
15時50分〜16時05分 集合写真撮影とバスへの乗り込み 
16時05分〜17時10分 帰阪 JR大阪駅西側ガード下にて解散
                                                                        以上
                                                               (文責:飯盛、前中)

                                                                                              *工場内撮影禁止

六甲の青嶺讃えて発電所



                                                    文/飯盛、前中 写真/飯盛、石井  俳句/秋山
                                                                      企画:前中、飯盛     

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