UP 2014.11.13 kita

シニア自然大学校 環境科11月期 施設見学

「バイオマスツアー真庭」報告書

 日 時:11月7日(金)8時~19時 晴
 集 合:8時 大阪梅田第4ビル横(阪神バス使用)
 行 先:岡山県真庭市 銘建工業㈱、真庭市役所
 参加者:40名
 解 散:19時 大阪駅ガード下

ねらい:ベストセラーの「里山資本主義」に紹介されていた真庭市の製材業からの副産物(木質バイオマス)をエネルギー源として使用するシステムを見学する。

8時~11時は、バス車中において約30分間、企画した浅田さんより①書籍「里山資本主義」について、②日本の森林について、③中国山地について、④真庭市について、⑤銘建工業についての説明があった。

11時30分~12時30分 「木の駅」勝山木材ふれあい会館
真庭市バイオマス政策課の職員より、「真庭市におけるバイオマスタウン構想の概要」を資料「バイオマスタウン真庭ツアーガイダンス」に沿って説明を受けた。その後、質疑応答を行った。
・真庭市における木質バイオマス(かんなくず、おがくず、端材、樹皮、チップ、ペレット、間伐材など)によるエネルギー自給率は11.6%(2012年)で、目標は20%となっている。石油代替によるCO2削減効果は約4万トン/年となる。
・植林には補助金がでないため、意外にも進んでおらずこれからだという。



木材ふれあい会館

会館内の売店

概要説明後の質疑応答

12時50分~13時50分 昼食と町並み散策
地域経済へのささやかな協力であるが、全員がレストラン「西蔵」で昼食をとった。食事後、出雲街道(通称のれん街道)の勝山町並み保存地区の一部を散策した。この街道で地酒の試飲やお土産を品定め・購入する人もいた。 電柱を撤去した街道に面した店(100軒以上)には草木染ののれんがかかっており、懐かしい感じがした。


「西蔵」での昼食

出雲街道の街並み

のれんのある街並み

14時~14時50分 銘建工業 
創業は1923年で、1970年より集成材の製造を始め、1998年よりかんなくずを燃料に使い発電を開始した。2004年より木質ペレットの製造を開始し、2015年からは木質バイオを燃料とする1万kwの発電を行い、余剰電力は売電する予定とのこと。
見学は2班に別れ、木材製品置場~木質ペレット製造工程、1950kwのバイオマス発電施設を回った。
・集成材に使用される国産材はわずか10%で、欧米からの輸入材が90%を占める。国産材は量が不足しており、欧米材は量が多く安価なのが理由。
・排出されるかんなくず130トン/日は、ボイラーの燃料に80トン/日、ペレットの材料に50トン/日使用されている。ペレットの価格は20~30円/kg(木質チップは10~12円/kg)で、カロリー当たりの単価は重油より割安となる。
・ペレットは主に農業用ハウスの暖房用ボイラーに使用されている。
・今回、時間や工場の位置の都合で、CLT(直交集成板)関係の施設見学ができなかったことが残念であった。


ペレット造粒機

左かんな屑と右ペレット

かんな屑サイロ 

木屑処理設備 
 CLT見本 

13時~15時30分 真庭市役所本庁舎 
市役所職員からの環境に配慮した施設について説明を受けた。
・2011年完成の本庁舎正面入り口前の回廊風建物は、市を代表する産品のヒノキ材を使用したシンボル的なもの。
・銘建工業製の木質チップとペレットを燃料にしたボイラー2台を使って冷暖房を行っている(日本でここだけとのこと)。この燃料は市内で調達できるため、化石燃料のように世界の政治経済動向による価格変動があまりない利点がある。
・本庁舎屋上には80kwの太陽光発電システムがある。駐車場には電気自動車用充電スタンド1台があり、ちょうど充電中の車があった。また、雨水利用のため、本庁舎屋上の雨水を集め、貯蔵する木製のタンクがあった。
・本庁舎建屋(市町村合併政策により)、太陽光発電およびバイオマスボイラーはいずれも国からの補助金を得て作られた。


真庭市役所本庁舎

市役所のボイラー

市役所の雨水タンク 

所感
・他の地域で真庭市のようなバイオマスエネルギーシステムを構築するには、初期投資額がまだ割高のため国などが助成を継続していかなければ進まないように思われる。今後の進展に注目したい。
今回の見学地は遠距離だったためやむを得なかったが、見学時間がもう少しあればと感じた。

以上


集合写真

企画:浅田 記録:野村 写真:大野・野村・北仲 編集:北仲