UP 2015.3.3 kita
「旧中津川のまち歩きと冬鳥観察とみんなで防災について考えよう!」

淀川左岸(海老江干潟)堤防にて

1.はじめに

 近年、地球温暖化の影響(?)とも言える異常気象による大雨・大型台風・高潮・急激な大気の不安定による落雷などが増えており、保全活動に取り組むものとしては心配がつきません。
 新淀川付け替え工事から約100年余。

 100年前の大洪水と新しい川の誕生について、水郷の村<淀川下流域旧野里村(現西淀川区)周辺一帯>の環境の変化や、歴史・文化・防災について、ご紹介させていただきました。

 前日夕方に入った福島出張所からの1本の電話は、何と緊急事態発生の通知でした。
 昼食・トイレ・ワークショップ等での使用予定会場でのトイレが故障とか。
 会場の予定変更を促す電話です。トイレ確保は活動の必須条件です。この時間に何と・・・
 知るところは全て明日の行事関係で、アウト。どなんしょう。頭は真っ白。

 何とかなるのでしょうか?正直冷や冷やしながらのスタートでした。
 参加者36名が10時00分、阪神本線「淀川」駅に集合です。
・歩数約15,000歩(村瀬) ・皆様は何歩でしたか? 歩きすぎ?

行 程

 10:00 阪神本線「淀川駅」集合
 10:30 海老江干潟*1
 11:00 国土交通省淀川河川事務所福島出張所
 11:45 昼食
 12:10 ワークショップ:
     ①西淀川のウナギぼうや・②西淀川のはらぺこあおむしくん・③西淀川の羊のストラップ
 12:30 淀川大橋(海老江干潟を橋上より見ながら約1㌔㍍移動)
 13:00 鼻川神社(下垣宮司様より由来の説明を受ける。その他西成大橋の親柱)
 13:15 野里の渡し跡(クロガネモチの巨木)~柏の渡し跡
 13:30 野里住吉神社(野里の渡し・旧中島川堤防残存跡・一夜官女祭の見学等)
 14:00 「一夜官女祭」祭列は当矢に向かい出発
 14:10 池永邸(国重要無形文化財)
 14:30 当矢(歌島コミュニティプラザ)到着
     「一夜官女祭」→当矢にて儀式
 14:50 歌島コミュニティプラザにて解散。
      *「厄よけゴボウ」をいただく
 15:00「一夜官女祭」祭列一行出発→野里住吉神社へ(各自希望者のみ自由見学)
 解散(①JR塚本駅・・・徒歩7~8分・②阪急十三方面へは塚本駅よりバス利用)

3.海老江干潟(汽水域)とは:

   (インターネット「干潟再生WG」参照)
 柴島干潟水路創出時の掘削土砂を、海老江の地に積み上げてできたものが現在の海老江干潟。
 1995年震災前の自然干潟は、十三干潟のみ。
 地震による地盤沈下で干潟や浅瀬が創出し、現在は河口部より矢倉干潟・海老江干潟・花川干潟・
 十三干潟・柴島干潟が存在。 淀川汽水域は、毛馬の閘門まで約14㌔メートル。
 これら汽水域の干潟部には、現在多種多様な生きものが生息するようになっています。

淀川での観察

淀川の水鳥の群れ

シジミも沢山あった

国交省淀川河川事務所福島出張所

ワークショップ

淀川大橋を渡って移動

4.旧野里村(現西淀川区野里一帯)とは:

 かっては網の目のように水路がはしる水郷地帯でした。
 新淀川が付け替えられて、水害もへり、暴れ川もおとなしくなりましたが、現在海抜0㍍地帯。

 新淀川の全身「旧中島川」にまつわる地名や、旧中島川の堤防の一部が残存(野里住吉神社)、
 旧中島川の流れを利用した道路(昔の旧中島川の川底が随所に残っている)、
 渡しの跡(柏の橋跡、野里の渡し①-旧中島川左岸堤防 野里の渡し②-旧中島川右岸堤防)
 
 淀川大橋の全身は「西成大橋」。(木橋が架け替えられて現在の橋)
 この西成大橋付け替え前の親柱が、一方は鼻川神社に、そしてもう一方が八坂神社に残存。
 昔の海老江村は、新淀川の両側にあり、片方ずつを残したか。

 私設「旧野里村資料館」(故池永悦治氏開設)、
 付け替え工事前は河川敷にあったという「クロガネモチ」の巨木
 (旧中島川左岸/野里の渡しの跡)、
 残存する水郷地帯の石垣(①野里の渡し ②池永邸の石垣)
 現存する江戸時代の農家/池永邸(国重要文化財)では、当時の生活様式などを知ることが可能
 など、数々の歴史や文化や、防災についての学びを体験できる場所でした。

鼻川神社宮司の説明

野里の渡し跡

池永邸

5.大阪府指定文化財「一夜官女祭」とは:

 ・人身御供の作法が神事として伝わった春祭り
 ・防災祈願のための生贄としている行事
 ・野里は中津川右岸に接した水郷で、先人達が一番恐れたのは堤防の決壊。
  現在は一年の無事と豊作を願い、また女児の健やかな成長を願う行事として行われていた。

野里住吉神社

一夜官女祭の行列

歌島コミュニティプラザにて解散

6.河川レンジャーとは:

 ・一般の方に、淀川(水辺)への関心・興味を深めていただくことを目的に活動
 ・行政や地域住民の橋渡しを目指す
 などを目的に活動

7.感想他:

 ・まち歩きは参考になった。地名をかってに変えてはダメ。それなりに意味がある。
  時には古地図も照らしあわせて知ることが必要とわかった。
 ・まち中を歩きながら、ここは川底(旧中島川)、残存堤防の一部、渡しの跡・・・と何か不思議な
  タイムスリップしたような一日でした。説明を受けて始めて実感できました。
 ・海抜標識を確認しながら歩いたが、本当に-0.9㍍、-1.1㍍などとあり驚いた。
  防災への認識を新たにした
 ・「一夜官女祭」という人見御供行事が今も行われていることに正直驚いたが、
  小学生が、高校生が、見守り参加していることに、脈々と継承されているんだと嬉しく思う。
  防災意識を伝える貴重な無形文化財として、いつまでも続いてほしいと願った。
 ・鼻川神社では、液状化現象で大変だった話を聞いたが、私も液状化などで全壊し震災復興住宅に
  入っておる。昔は防災などあまり考えたこともなかったが、今は常に意識するようになった。
 ・旧野里村資料館や江戸時代の池永邸について、ご紹介のみでなく実際に見学は不可能なものか。
 ・ワークショップの時間をもっととってほしかった。
 ・河川敷(海老江干潟前)にあった大きな土嚢袋(細かな砕石)は、何のためのもの?・・・など

8.その他:

1)使用資料:水郷野村の足跡、西淀川全図(明治18年)、一夜官女祭、一夜官女祭コースマップ
        ワークショップ「西淀川の自然お土産」、ミコアイサ資料
2)出現鳥:双眼鏡および目視にて確認のみ。カモ類は激減。北帰行始まっていた。
        ワークショップ「西淀川の自然お土産」、ミコアイサ資料
 ①アオサギ  ②イソシギ  ③ウグイス  ④オオバン:*  ⑤オナガガモ*
 ⑥カワウ  ⑦カワラバト  ⑧カルガモ  ⑨カンムリカイツブリ*  ⑩キンクロハジロ*
 ⑪スズメ  ⑫セグロカモメ*  ⑬ツグミ*  ⑭ハクセキレイ  ⑮ハシブトガラス
 ⑯ハシボソガラス  ⑰ヒドリガモ*  ⑱ヒヨドリ  ⑲ホシハジロ*  ⑳ミサゴ
 ㉑ムクドリ  ㉒ユリカモメ*      
  *(青色印)は冬鳥:⑩キンクロハジロ・⑲ホシハジロは全体で約300羽。⑬ツグミは30羽ほど確認。

3)協力お礼
  下記のみなさまにご協力をたまわりました。感謝申し上げます。
  ・国土交通省淀川河川事務所 福島出張所様
  ・河川財団 河川レンジャー事務局様
  ・野里住吉神社様
  ・鼻川神社/下垣宮司様
  ・ヒクイナ会様(資料の提供)
  ・西淀自然文化協会様

4)お天気
 ・一夜官女祭は毎年2月20日に実施されております。
  時には雨天だったり、雪がふったりで、官女が泣きながらの参加もありました。
  本日は天候に恵まれ、官女たちの何よりも少しはにかみながら、緊張した姿が初々しく感じられ
  健やかな成長を願いました。
  旧野里村(西淀川区一帯)は、この行事が春到来を告げておりました。