UP 2015.6.2 kita
平成27年度研修旅行

 奈良県の約5分の1の面積を占め、村として日本一の広さをもつ十津川村は、この1世紀半の間に大きな水害を経験している。
明治22年8月の大水害と平成23年台風12号による記録的な大雨で起こった大規模崩壊の現場を国交省紀伊山地砂防事務所 副所長林 和彦さんの案内で視察する事が出来た。

 平成23年台風12号で発生した広範な土砂災害は奈良・和歌山・三重の3県で105件。奈良県に於いては6カ所が現在も大規模な復旧工事が行われている。その内の一つ、現在もまだ4人の行方不明者がおられる五條市大塔町清水の清水・宇井地区の災害現場を視察。
川の両サイドの斜面が深層崩壊、11人の人的被害が出ている現場であるが、清水地区の斜面はロックボルトを打ち込んでの復旧工事中。ここでの教訓は、土砂災害警戒情報が発表されてから2日後、雨が止んだあとに崩壊が起こった。降雨後も注意が必要である。

 明治22年8月の大水害時には土砂崩れで53カ所の河道閉鎖(土砂で川を堰き止める)で天然ダムが形成、それが決壊して被害を増幅させた。そんな天然ダムの一つ、林新湖の現場を視察。十津川の左岸が大崩壊、一瞬にして川をせき止め、土砂は右岸までうず高く埋め、せき止めから17時間後に決壊した。右岸に残った岩や土はその後全く人の手が入らず放置、126年放置された自然の姿が見学できた。 他と植生の違うエリアを形成している。

猿谷ダム

宇井地区での説明

昼食は「夢の湯」にて

放置された明治22年の崩壊現場

谷瀬のつり橋

風屋ダム

清水地区崩壊現場をバックに

風屋ダムにて

十津川村歴史民俗資料館

 村の歴史民俗資料館とあるように、明治22年8月の大水害からわずか2か月で北海道に2700人近い住民が移住しているが、その時の詳細な記録が展示されている。小さな資料館であるが、昔の村の生活等を知る事が出来る豊富な内容であった。

十津川歴史記念館へ

説明を聞く

宿は一乃湯ホテル

ホテルでの夕食とアトラクション

先ずは乾杯!

初登場”RAKUGO”

恒例のマジック

みんなで歌いましょう




2日目の最初に訪ねたのが熊野本宮大社。

 神官に大社の概略を説明頂き、指導された参拝方法で各自が参拝。現在の神社は明治22年の大水害で被災後、現在の高台に移築されたものである。明治22年まであった大斎原にも足を延ばし神社(跡)と川の位置関係を確認。

熊野本宮大社到着

本殿まで何段あるのやら

神官から説明を受ける

大斎原の大鳥居

世界遺産の碑

旧社地大斎原おおゆのはら

熊野本宮大社にて

 昼食は道の駅熊野古道中辺路で取った後、2つのグループに分かれる。
古道散策組23人は、地元の語り部、ヨッシーこと水本好則さんに案内され出発。
 道の駅熊野古道中辺路で名物語り部の水本好則さんと合流する。先ずは立て板に水の自己紹介 通称ヨッシーで菅笠に黒い法被姿で顔は川谷拓三そっくり!弁当の後23名が道の駅前からすぐ山道に入り石畳など上り下り、5分の休憩時にもサカキ、シキビ、ミヤマシキミの葬祭使用の由来を聞く。牛馬童子のある箸折峠では子授かりの話や後鳥羽上皇の箸折りの逸話。暫く石畳道を下ると近露を見晴らせる所で宗教観など持論を展開!最終の近露王子の石塔前にては「感謝の心を!」と締め括られた。ある人の感想は、短時間は付き合えるけど一日中はしんどい!
それぐらいエネルギー に溢れた方でした。(辻井)

道の駅熊野古道中辺路にて・古道散策組

ヨッシーさんの案内で

歩きました熊野古道

近露王子にて

 道の駅で、散策組を見送ったのち美術館鑑賞組6名はバスで移動。散策組と合流場所の美術館駐車場に。この熊野古道なかへち美術館は田辺市立美術館分室で地元の建築家3人の共同設計で作られ、全面ガラス張りというユニークな建物。道の駅駅長の森昌子さんの好意で招待券6枚を頂き入館。本日(29日)から展示替えの「墨に彩られた世界」を鑑賞。

 
今回の研修旅行の最後に、日本でのナショナル
トラスト運動最初の場所、天神崎を見て帰路に。



 今回の研修旅行は多くの方のご協力を得て実施できました。特に国交省紀伊山地砂防事務所の林さんにはご多忙なところ、4時間にわたって案内・解説いただきました。
道の駅の森駅長にはコースの設定等アドバイスを頂きました。
両日ともほぼ行程表通りに進行できた事は参加頂いた29名の仲間の協力のおかげです。感謝申し上げます。

旅を彩ってくれた十津川の自然