UP 2016.5.30 kita
《タキイ種苗・研究農場見学》

研究農場
 琵琶湖の南・湖南市にあるタキイ種苗(株)の研究農場を訪問しました。最寄りのJR甲西駅集合です。なぜか草津線沿いのあちこちに太陽光パネルが設置されていました。
皆さん早い時間にご苦労様でした。参集後直ちに徒歩で、のどかな麦畑を横目に旧東海道を横切り、15分程で農場に到着です。
元研究員の岸田様の出迎えを受け、あいさつもそこそこに、「農業を取りまく現状」、「品種改良」などのお話しをしていただきました。


皆さん、最寄の甲西駅に到着

タキイ種苗・研究農場へ入る
  
滋賀県湖南市の広大(70ha)な研究農場

お話し
 日本の農業の現状は、「農家の数は多いが収入が少ない(農業を仕事にする人140万人、年収100万円以下が43%)」のと「高齢化で担い手が少ない(平均年齢が67歳)」だそうで、拡大(50%)する耕作放棄地様子からも先行きが不安です。そんな現状に担い手づくりを目的とした支援制度などもあり新農業者が2割ほどでわずかとは言え増加傾向にあるそうです。ところが、そのうちの7割はやめてしまうとのこと。大量生産・大量消費(60%が加工用で30%は輸入)に伴う価格低下で大型化に付いていけないのが遠因のようです。当農場内にある園芸専門学校の卒業生で上手くいっているのは“ブランドづくり”ができた人で、TPP対応を含め、今後の農業のあり方のキーポイントになりそうです。
“xx交配”と“xx育種” は別物で、タキイ交配(一代交配F1)はA(♀)*B(♂)⇒AB(F1)、タキイ育種は♀♂⇒新品種だそうで、DNA検査をはじめとするバイオマーカー選別で管理されているとのことです。耐病性、機能性など品質の向上を目指し、年間20~30種の野菜、30~40種の花の新品種が当農場で生まれているとのことです。長年の研究成果を、お土産に頂いた「花と野菜ガイド」などの冊子に見ることができます。
タキイ交配種のサンプル

「モスバーガーで使用される生野菜はすべて国産」、長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」は「100%国産野菜」を売りに業績を伸ばしているとのことで、不信を抱きながらもファストフード店について、認識を新たにしました。日本人は「美味しい」ばかりでなく、「健康・安心・安全」にいかに関心があるかを示していると言うことでしょうか。
安全・安心な食品に関心が高いと言いながら、「スーパーで有機野菜は売れない」のが現実だそうです。気にかけている“残留農薬”について「ポジティブリスト制度で規制されているから安心」なだけでは納得できない人は、減農薬に努めている生産者を信じるのと、同時に農薬の残留性・分解性についてもっと知る必要があるかと思います。
発芽の仕組みは知れば知るほど興味がもたれます。 「種は生きている」ので冬眠(酸素を遮断して冷蔵保存)させておけば劣化を遅らせるってことのようで、おおよそ葉根菜は1年、果菜は1年以上でもOKぐらいを目安にすればよいとのこと。ミニ菜園では、ペレット種を買って使い切るのがいいかな!

研究農場内見学
 お話しの後、約70haと言う広大な農場を車移動で見学しました。“桃太郎”をはじめとする様々な品種のトマトが育成されているハウス内はさすがに見事でした。感動のあまり擦られたトマトは少し迷惑だったかも!


トマトについての説明を受ける

“桃太郎はるか”

ミニトマトの房

野菜は健康維持に重要
 健康維持に重要な“野菜”について、大変有意義な見学会となりました。また、菜園での野菜つくりのヒントを沢山いただきました。
家庭菜園をやっている人は、多少の虫は無視しましょう。やむをえず農薬を使っても、その分解性の高い土壌作りに励みましょう!
関心があるだけの人は「タキイ学園を卒業した生産者」の有機野菜・減農薬野菜を販売している直売所探しをしましょう!

タキイ種苗研究農場にて

午後の散策
 午後は、安藤広重の「東海道五十三次」の「石部宿」に描かれている“美し松”の見学と石部宿(駅)までの旧東海道を自由散策しました。


うつくし松の巨木
    

次世代の“美し松”でしょうか?

急斜面を下りる科員
    
  

安藤広重「石部宿」NETから転写

天然記念物うつくし松をバックに