UP 2017.4.18 HRY
2017年4月環境科野外活動
新名神高速道路工事見学と宝塚桜の園
■日時:平成29年(2017年)4月14日(金) 天気 晴れ
■集合:10:30JR武田尾駅
■行先:新名神高速道路 宝塚北IC・SA工事見学/宝塚桜の園ヤマザクラ鑑賞
■参加者:25名
■案内:新名神工事:NEXCO西日本 宝塚工事長 山口卓位様
     宝塚桜の園:環境科 平山元哉
神戸・高槻を結ぶ新名神高速道路が平成29年度末開通を目標に工事が進んでいます。NEXCO西日本宝塚工事長の特別のお取り計らいで、建設中の宝塚北IC・SAを見学しました。午後からは桜博士笹部新太郎氏の演習林であった亦楽山荘(宝塚桜の園)を見学し、折から満開のヤマザクラを鑑賞しました。
                             スケジュール

 10:30 JR武田尾駅集合 (10:35阪急田園バス乗車→10:39出合橋下車)
 10:45 新名神宝塚北IC・SA工事現場見学(進入道路、擁壁、IC道路、SA建造物、橋脚、河川)
 11:55 見学終了、12:04出合橋阪急田園バス乗車→武田尾下車→武庫川渓谷廃線跡歩き
 12:30 親水広場で昼食
 13:10 親水広場発、桜の園周回(笹部新太郎博士のサクラ演習林見学、ヤマザクラ鑑賞)
 14:15 親水広場着、武田尾駅へ廃線跡歩き
 14:50 武田尾駅解散 有志宝塚で反省会
      ルート図(歩行:7km)
◇◇◇新名神高速道路工事現場見学◇◇◇
(10:45〜11:55)

≪新名神高速道路 宝塚北IC・SA建設現場(NEXCO西日本提供)≫

新名神高速道路ルートと工事区間

 出合橋バス停にはNEXCO西日本宝塚工事長の山口さんと係員1名の出迎えがあり、誘導を受けながらダンプが行き交う道路を一列縦隊で歩きます。坂道を登ること20分で工事現場到着。山林を切り開いた広大な敷地にはトラック、ダンプ、クレーン等重機が忙しく動き、インターチェンジの道路、サービスエリアの建造物の建設中です。現場に入るわけにはいかず、一端でパネル写真を使いながら工事の概況説明を受けますが、平坦面のため全貌を見ることはできません。係員の方が擁壁の高台に登り、工事現場の写真や我々の集合写真を撮ってくれました。

出合橋で橋梁工事説明 仮設橋梁を撤去中

出合橋付近 河川改修工事が進む

ダンプが往来する宝塚IC・SA工事現場へ歩く

新名神高速道路 宝塚北IC&SA建設工事現場

山口さんの説明、マウスを置くと完成予想図表示

以下パネル写真より↓


排水対策

地元対策(一部土砂の運搬はベルトコンベア利用)

斜面の滞水対策

排水工事


工事現場の報告(NEXCO西日本・宝塚工事長山口さんの案内より)

・宝塚北インターチェンジ及びサービスエリアの建設工事(上下一体のサービスエリアのため非常に広い面積が必要)
・土盛は約400万立方bでダンプでおよそ延べ80万台(ダンプ1台当たり約5立方b) 1日のダンプ運行台数は90台で4往復配車、最大盛土高は70b
・盛土材の選定は厳しく、良質なものを選定。盛土中の水の滞水を防ぐため、砕石層(礫岩)・流紋岩を使用し垂直排水溝を設置。のり面各所に排水パイプを配置
・盛土のり面保護のため、播種工を念入りに且つ排水対策を万全に
・切土法面及び盛土部分は崩落防止用に格子枠を主に設置し、アースアンカー打設(ピッチ約縦横3メートル)でアンカー長さは2.5〜5b
・近隣へ迷惑のかからぬように、一時期ベルトコンベアーを設置
・工事地域の植生を維持するため、貴重な植物等は移植して、工事後再生する
・工事における安全第一を優先し、良質な構造物の構築を目指しつつ工事にまい進

見学記念写真(クリックで拡大)
NEXCO西日本・宝塚工事長山口様には大変お忙しいところ貴重なお時間をいただき、懇切丁寧なお話しをいただいたことに感謝申し上げます。最新の工法を駆使し、環境に配慮した工事であることを学ばせていただきました。今後とも事故もなく、無事に大工事が完成することをお祈り申し上げます。ありがとうございました。

*一部の画像はNEXCO西日本提供のパンフレット・パネル写真より借用させていただきました。

見上げれば巨大橋桁風光る      良徳

◇◇◇宝塚桜の園◇◇◇
(12:30〜14:15)

福知山線廃線跡〜親水広場(昼食)〜桜の園周回(もみじの道〜城ケ丘〜隔水亭〜育樹の丘〜さくらの道〜エントランス広場)〜親水広場〜武田尾駅

桜の園案内図


≪桜坂のヤマザクラ≫
 新名神工事現場から武田尾バス停に下車し、福知山線廃線跡を二つのトンネルを抜けて桜の園に向かいます。桜が満開で、親水広場は多くのハイカーで混雑していました。なんとシニア自然大学のS組70人余りが親水広場を占拠、我々は河原に降りて昼食としました。親水広場にはササベザクラがあります。ソメイヨシノは1本だけ市が植樹してますが、笹部新太郎はソメイヨシノは”亡国の花”で、あれは桜ではないとまで言っています。彼の演習林であった亦楽山荘(桜の園)には一本もありません。

桜の園遠望

オオシマザクラの広場

廃線跡トンネルを抜けて

武庫川渓谷親水広場で(クリックで拡大)
 昼食後は桜博士笹部新太郎氏の桜演習林「亦楽山荘」(桜の園)を周回する。もみじの道・どんぐりの道を登ること30分、標高差120mはこたえたが城ケ丘で一息。ここは笹部氏が大阪の財界人を招いて毎年桜の宴を開いていたところ。新地の芸者さんも登って来られたとか。一度谷に下って上り詰めたところが研究室のあった隔水亭。育樹の丘でもう一息入れて、さくらの道を下りますが、この坂道から見下ろすヤマザクラは背景の森に浮かび上がり圧巻である。推定1000本はあるといわれるサクラですが老化がすすみ、だんだんと減ってきたことは寂しい限りです。

桜の園を登る

隔水亭(元笹部新太郎博士の研究室)

桜坂の景観

桜の園入口で(クリックで拡大)
今年のソメイヨシノの開花は昨年よりも1週間ほど遅れました。その後の高温で、ソメイヨシノ、オオシマ、ヤマザクラ、サベザクラなどが一挙に満開となりました。例年よりも何倍も楽しませてくれた桜でした。

武田尾温泉

武田尾駅

武田尾駅から武庫川を望む

蒼穹(そうきゅう)の中にひかりし山桜     良徳

≪サクラ三題≫


ヤマザクラ

オオシマザクラ

ササベザクラ
*亦楽山荘(桜の園)と笹部新太郎博士
笹部新太郎氏がサクラの品種改良や接ぎ木などの研究のために1912年(明治45年)に拓いた演習林で、面積は約40ヘクタール。当時は全国から集められたヤマザクラやサトザクラが30種、5000本以上も植えられていた。笹部氏はこの演習林に中国の詩人・蘇東坡の漢詩の一説から「亦楽山荘(えきらくさんそう)」と名付けた。「亦楽山荘」とは建物を指すのではなく、演習林全体をさす。現在里山ボランティアグループ「櫻守の会」が保全活動を行っている。桜の園とは、宝塚市の里山公園としての名称。
*笹部新太郎(1887〜1978)
大阪の堂島に生まれた笹部氏は東京帝国大学法学科在学中から桜の研究を始め、本来の日本の桜であるヤマザクラ、サトザクラの保護育成に生涯を捧げた。大阪造幣局の通り抜けの桜、西宮市夙川、甲山周辺の桜の管理指導など多くの桜に関する事業を手掛けたが、中でも1960年(昭和35年)に行われた岐阜県御母衣ダムの建設で水没する荘川桜(エドヒガン、樹齢400年)の移植は、世界の植林史上においても稀有の業績である。(櫻守の会資料より抜粋)
企画3班:文/加藤・平山、俳句/加藤、撮影/大野・加藤・平山、編集/平山 
 ◇環境科トップに戻る