UP 2017.10.10HRY
シニア自然大学校環境科2017年10月施設見学
クボタ阪神工場/尼崎競艇場 見学
■日時:平成29年(2017年)10月6日(金) 9:00〜15:00
     天気 曇時々雨
■集合:9:00 阪神出屋敷駅
■見学先:AM:クボタ阪神工場/PM:尼崎競艇場
■参加者:27/28名
 クボタ阪神工場武庫川事業所は水道用ダクタイル鋳鉄管の専門工場で、歴史も古く、世界トップレベルの生産規模を誇ります。尼崎競艇場は土地改良を行うために作られた人工池を日本船舶協会と尼崎市がボートレース場としたものです。両施設を見学するとともに環境保全に対する取組みについて学びます。

≪クボタ阪神工場武庫川事業所≫

≪尼崎競艇場≫
地図はこちら
                           スケジュール
 9:00 阪神出屋敷駅集合
 9:15→ 9:25 阪神バス:出屋敷駅→尼崎スポーツの森下車 歩10分
 9:45〜11:40 クボタ阪神工場見学(説明、見学、質疑応答)
11:40〜12:10 昼食(クボタ会議室借用)→尼崎スポーツの森へ移動
12:29→12:40 阪神バス:尼崎スポーツの森→出屋敷駅 移動
12:47→12:50 阪神電車出屋敷駅→尼崎センタープール前駅、歩5分
13:00〜15:00 尼崎競艇場(ボートレース尼崎)見学、レース開催日
1.クボタ阪神工場
(9:45〜12:10)
 阪神出屋敷駅に集合したのは27名。雨天予報のためか5名がキャンセルです。曇りで小雨がぱらつくものの、傘をさすほどでもないお天気です。クボタ阪神工場武庫川事業所正門には今日お世話いただく勤労課A様のお出迎えです。予め見学者名簿を提出していたため、入門もスムーズでした。案内された会議室には32名分の案内資料、見学者用装備品、飲料水が用意されています。

クボタ阪神工場武庫川事業所14.1万uを囲む長い塀

屋外展示の鋳鉄管
1.1会社概要説明
 総務課長さんより工場概要についてご説明がありました。株式会社クボタは1890年(明治23年)久保田権四郎によって創業、1893年(明治26年)国産初の水道管(鋳鉄管)製造に成功する。現在大阪を本社として主要拠点国内25か所、海外57か所、売上げ1.6兆円、社員3.8万人を擁する大企業です。事業分野は食料、水、環境分野に及びます。今回お訪ねした阪神工場は鋳鉄管の専門工場で、1940年(昭和15年)に設立され、呼び径75〜2600までの口径の広さでは世界トップレベルの生産規模を誇っています。
「その前に鋳鉄管とは何でしょうか。鉄を大きく分類すると、その炭素含有量により、「純鉄」、「鋼鉄」、「鋳鉄」に分けられます。鋳鉄とは炭素含有量が2.14%〜6.67%と高く、硬くてもろいので、鋳造(溶融した鉄を型に流し込んで製品を作る)という方法で製品を造ります。鋳造品はいわゆる「いもの」で、マンホールや水道管等などに使用されます。ダクタイル鋳鉄とは黒鉛球状化処理によって粘性を持たした鋳鉄のことを言います。」

工場概要説明(総務課長)
<スライドより>

クボタの事業

製品紹介

キュポラ

製造工程
鋳鉄管はどのように造られるのでしょうか。下図をご覧ください。
1.不純物の少ない原料(鉄スクラップ)を厳選して、熱風式キュポラによって溶解、黒鉛球状化阻害元素である硫黄分を溶鉄中から除外(脱硫)し、
 マグネシュームによる黒鉛球状化処理を行います。(溶解)
2.高速回転している金枠に溶鉄を流し込み遠心力作用により、強靭で均質なダクタイル鉄管を製造します。(鋳造)
3.鋳造した管を炉によって熱処理を施します。(焼鈍)
4.既定の形状・寸法に加工(加工処理)
5.水圧試験・内面外面塗装処理→出荷

<製造工程>(工場案内パンフレットから転載)
1.2工場見学
概要説明を受けた後、見学のための身支度を整えます。首巻タオル、作業着、保護メガネ、手袋、防塵マスク、ヘルメットとイヤホンを身に着け、2班に分かれて、それぞれの説明員の引率で展示室から製造現場へ向かいます。

見学の身支度を整えて
 筆者の属する2班は、女性説明員Hさんの引率で展示室へ。ここには製造工程や環境保全の取り組みについての掲示物があり、環境保全に力を入れていることがよくわかります。特に目を引いたのは製造ラインのビジブル化装置です。現在の製造ラインの様子が一目でわかるようになっています(まだ試験中とのこと)。雨が降り出してきました。見学者用に準備された雨傘をさして、キュポラがそびえる工場内に入ります。見学したのは中・大管工場です。溶解した鋳鉄が運ばれる、高速で回転する金枠に流し込まれる、遠心力で枠に張り付く、鋳造管が出てくる、ほとんどがロボット制御ですが、はみ出た鋳鉄の排除などは手作業です。鋳鉄管が次々と生まれる、灼熱の中で作業員が必死にスコップを振るっている姿は感動的ですらあります。この会社が、この人が日本を支えているのだとの思いが募ります。説明に熱がこもります。我々が感心しながら見入っている姿を見るのがうれしいとこの方。素晴らしいガイドさんです。

溶解(キュポラ)

金型遠心力鋳造

砂漠に命の水を、中東カタールプロジェクト(新聞広告より)
---画像は工場案内パンフレットより転載、工場内は撮影禁止です---
鋳造工程に絞っての見学はあっという間でした。会議室へ戻っての質疑も活発で予定時間をオーバーしてしまいました。この場をお借りして昼食を摂らせていただき、工場を後にしました。

キュポラを背景に 右端:お世話いただいた勤労課A様
久しぶりの環境科らしい見学に満足。準備万端、快く私どもを迎え入れ、お世話いただいたクボタ阪神工場の皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。益々のご発展をお祈り申し上げます。
◇◇◇
2.尼崎競艇場(ボートレース尼崎)
(13:00〜15:00)
 尼崎競艇場について、かつてこの一帯は湿地帯であり、夏季は蚊が大量発生するなど、衛生面で非常に問題となっていた。戦後、この土地を埋め立てる計画が出たところ、競艇の開催地を探していた日本船舶振興会と、戦後の復興資金確保に躍起だった尼崎市との間で、競艇場への活用が決められた。掘削し競艇場プールを建設した後、その土を周辺の埋め立てに利用した。1952年(昭和27年)9月開設。もともと湿地帯であった場所を土地改良を行うために作られた人工池(プール)であるため、水質は淡水である。
2.1施設見学
 尼崎スポーツの森から阪神バス、阪神電車を乗り継いで尼崎センタープール前駅へ。ここから連絡通路が尼崎競艇場(ボートレース尼崎)へ通じています。尼崎市職員のK様と女子職員の出迎えを受け場内を案内していただきました。入場料100円ですが、本日は見学ということで無料です。入口には、出場選手のプロフィールが掲げられています。A、B等のランク付け、過去の成績、勝率が表示されていますので、舟券を購入するときの参考になります。プール→1F観覧席→3F観覧席→5F特別室を見学して会議室へ案内される。

ボートレース尼崎正門入口

入口ホールに選手のプロフィール掲示

1F一般観覧席とプール

3F一般観覧席
2.2概要説明
5F会議室で係員の説明をお聞きする。
 尼崎ボートレース場は尼崎市が所有する。モーターボート特別法によるギャンブル認可。レースの開催は、年間186日で内、130日を尼崎市、56日を伊丹市主催で開催。今日は伊丹市の開催日です。尼崎市の収入は〜平成26年まで(過去65年間で)3340億円。収益は「地方自治体の財源及び日本財団が行う社会貢献活動」に向けられます。舟券での払い戻しは売り上げの75パーセントで25パーセントが日本財団(2.7%)・モーターボート協会(1.3%)・地方公共団体(1.0%)・開催経費(実費)に振り分けられる。全国には24レース場があり、インターネット等で舟券(最低投資額は100円)を購入できる。そのため、実際にレース場に来なくても購入可能なので入場者数は減少気味。全体の売り上げは増加傾向にある。レース開催中の選手は完全に隔離状態となり、一般の人との接触は禁じられている。携帯電話は禁止。宿舎が用意され専用のバスで送り迎えとなる。艇は貸与で、与えられた艇のエンジンの調子等が勝敗を左右する。多少の改造は許されているようだ。選手の平均年収は約1500万円、出場できなければ0円だそうです。厳しい世界です。
レース場の水質保全(環境整備)のため特別な浄化設備があり、ボートエンジン等からの油漏れ等はほとんどない。又、場内には専属の清掃人・警備人が常駐しごみ処理等を含めトラブル処理にあたっている。プールの南側は阪神電車の駅舎であり北側はスタンド等の建物に取り囲まれているので、周辺への騒音対策となっており、地元とのトラブルはないようである。
ボートレース場の概要はこちらをご覧ください。

5F会議室で競艇の説明を聞く
2.3投票
 まもなく第9レース(9R)が始まります。舟券の買い方を教えていただき、各自投票します。出走表にある選手の経歴、勝率などを参考にします。6艇で3周1800mの競技ですが、過去の成績では1号艇、2号艇が強いようです。大画面のスクリーンにはオッズ(倍率)が表示されます。私は連単1-2、連複1-6を200円で購入しました。スタートは陸上競技のようにスタートラインに並んでヨーイドンではありません。プールの中央にある大時計が12時を指したときにスタートラインを通過するようにしますから、各艇は艇の調子等を考えてバラバラの位置から出艇します。この辺が面白いですね。
スタートしました。各位購入船券の艇を応援しますが、100円、200円では興奮するほどのことはありません。終わってみれば、勝ったという人は現れません。結果は1→5→2でした。

舟券はマークシート方式

投票する

大型スクリーンにオッズ表示、6R順位は2→1→3

9レーススタート(大時計が12時を指す)

コーナリングでは内側が有利

舟券の艇を応援する
競艇場は初めてという方がほとんどで、貴重な見学になりました。お忙しい中ご案内いただいた尼崎市職員の方にお礼申し上げます。ありがとうございました。
文/平山・加藤、写真/大野・平山、編集/平山 
企画:3班 平山、加藤
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