観察会記録(2022年2月度)
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天王山から長岡天神

観察会 : 2022(令和4年)年2月4日(金)   時間 : 10時00分〜15時05分
                                     
天 候 : 晴れ

コース :  山崎駅→宝積寺→旗立松展望台→十七烈士墓→ミツマタ群生地→天王山・山頂→
      柳谷観音・金ケ原分岐→柳谷観音→西山古道(駐車場)→立石橋→長岡天神(解散)
       
コース・タイム :
        9:55山崎駅→10:07宝積寺(体操)10:17→10:40旗立松展望台→10:50十七烈士墓
      →11:00ミツマタ群生地→11:25天王山・山頂→12:00柳谷観音・金ケ原分岐(昼食)12:30出発
      →13:12柳谷観音→13:25西山古道(駐車場)→14:10立石橋→15:05長岡天神(解散)

参加者 : 14名
「観察会概要」

 我々の活動場所である天王山周辺を歩いて歴史や寺院について学ぶ観察会が昨年コロナで中止となったが、今回復活した。
 いつも体操後に横を通り過ごす宝積寺の三重塔に立ち寄る。資料によると、桃山時代に建立され、高さ約19.5mで重要文化財、内部は四天柱・来迎壁があり、須弥壇に大日如来坐像が安置されている。豊臣秀吉と明智光秀によって山崎の戦いが行われ、豊臣秀吉が山崎の合戦で亡くなった人を弔う為に一夜で建立したという、「秀吉一夜造りの塔」との逸話が残されている。
 宝積寺は聖武天皇の勅願により行基が建立したといわれる古刹で寺宝を多く有し、本堂及び山門は京都府の登録文化財である。美術工芸品の本堂内安置の十一面観世音菩薩立像、仁王門の金剛力士像及び収蔵庫に安置される閻魔王と眷族像が重要文化財に指定されている。
 


宝積寺三重塔

                                  

←境内を通り抜け、少し登ったハイキング道沿い横に我々の作業エリアが見える。

   *旗立松や青木葉谷展望所からは、比叡山や石清水八幡のある男山、
   右側奥の方に生駒山が川向こうに見渡せる。 
森林文化科の活動エリア
ミツマタの群生地 三社殿 本社

 ミツマタの群生地があるという事で酒解神社に向かう前に立ち寄る。

 天照大神社(天照大神)月讀社(月讀大神)蛭子社(蛭子神)を祀る三社宮から酒解神社本社へ。町の資料によれば酒解神社は大山崎地域の産土神として鎮座し、乙訓地方で最も古い神社で江戸時代以前は天神八王子社と呼ばれ牛頭天王を祭神としていた。天王山の名は祭神の牛頭天王の天王から由来している、本殿は江戸時代後期の建築で国の登録文化財、本殿横にある神輿庫は板倉形式という珍しい形式で、鎌倉時代前期の建築で重要文化財である。

<参考>天王山一体の森林(竹林)を活動地とした天王山周辺森林整備推進協議会が、大阪府島本町と京都府大山崎町にまたがり、歴史と文化が蓄積された景勝地である「天王山」周辺の森林の環境や景観を多様な関係者の協働により、大阪・京都の府境を越えた新たな森づくりを進め、植生調査を行い、地域ごとの特徴を生かした森林整備に取り組み、酒解神社社有林ではタケノコの侵入を抑えながら、ヒノキ圧迫 している成長の早いシイノキ等を除いて、荘厳で美しいヒノキを中心とした社有林になるよう森林整備を、ヤマザクラやツバキ、サカキなど花の咲く木なども育てるとともに木材の活用、水源かん養、土砂崩れ防止、美しい景観作り、地球環境保全に役割を果たしている。 メンバーは京都府大山崎区、酒解神社、京都府森林組合連合会、大山崎竹林ボランティア、天王山を 守る会、桂川流域ネットワーク、大山崎町建設経済部、島本町山崎自治会、椎尾神社、島本森のクラブ、 島本竹工房、(財)大阪みどりのトラスト協会、サントリー(株)、京都大学、大山崎町、島本町、京都府、大阪府である。
 森林文化科は、天王山周辺森林整備推進協議会が策定した「天王山周辺森林整備構想」に基づき、天王山で竹林整備の活動を行っている。

 次に向かった天王山山頂は丹波山地の南東端に位置し、 大阪平野から京都盆地に入る関門を成す標高 270.4m の山で古来地理的、地形的に重要視され、山上一帯には度々城 が築かれ、今日残る城跡は羽柴秀吉が天正 10年(1582年) に勃発した山崎合戦の直後に築城したもので、天下統一の出発点になった城。山頂付近一帯には天守台跡、門跡、井戸跡、土塁跡、礎石等が残されている。
 
天王山山頂  山頂から柳谷観音に向かう途中にある小倉神社との分岐で昼食。

 柳谷観音は、806年(大同元年)平安時代、清水寺を開山された第一世延鎮僧都により開創された。『西山にて生身の観音様に出会うことができる』という夢のお告げにより、清水寺からこの西山に入り、柳(楊)生い茂る渓谷の岩上に生身の観音様を見つけられ、古来より眼病に霊験あらたかな十一面千手千眼観世音菩薩(この観世音菩薩は、十一の顔と千の手、更にその千の手のひとつひとつに眼を持つとされ、あらゆる方向のあらゆる人を見失うことなく救済できる力を持った徳の高い観音様)だったということで、延鎮僧都は喜び、その場所に堂宇を建て観音様をお祀りし『楊谷寺』とした。『柳谷観音』として親しまれ、眼病平癒の祈願所として天皇家公家や人々の厚い信仰により支えられてきた。

柳谷観音(楊谷寺)

 柳谷観音・楊谷寺は「京都・西山 三山(楊谷寺、善峯寺、光明寺)」のひとつで、西山古道とは、善峯寺、光明寺、柳谷観音を結ぶ道。昔は信仰の道として利用されていたが、戦後、交通機関等の発達によって忘れられたが環境問題、里山再生、健康志向の山歩き・ハイキング人口の増加等により復興の機運が高まり、地元の「NPO法人 京おとくに・街おこしネットワーク」の尽力で最近整備、復興されたとの事。善峯寺は、山腹にある巡礼の寺。 西国三十三所観音霊場の第二十番札所で、御本尊は千手観世音菩薩。天然記念物の「遊龍の松」や境内の回遊式庭園では紅葉をはじめ四季折々の花が楽しめ、京都市内を一望できる。光明寺は、西山浄土宗の総本山。開基は法然上人の弟子、熊谷次郎直実で、念仏発祥の地として知られ紅葉の名所。
 観音様の参拝を済ませて小休止、駐車場横のゲートを潜って西山古道へ、尾根筋末端の急こう配、斜面を下って谷筋に入り立石橋へ到着。

立石橋 西山の展葉調査地のタグ 竹柵
竹林 ヤエノカンコウバイ 長岡天満宮
 立石橋の上部に長岡京市西山キャンプ場があり、森林文化科の有志から始まったシニア自然大学校展葉フェノロジー調査会の西山展葉調査地がある。

 天満宮に向かう途中の道路脇に竹で編んだ見事な竹柵や良く手入された竹林が有った。

 天満宮裏の梅林を 通って拝殿に廻り菅原道真公ゆかりの牛前で解散、天候にも恵まれ歴史と自然観察が出来た一時であった。
境内の牛
足跡図 : JR山崎駅〜阪急長岡天神駅 歩行距離 約 14Km

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